人間は現状に不満を抱く。んで、愚痴を吐く。
そのくせ、今を変えようとはせえへん。今の状態に文句をぶうたれながら、今の状態に従おうとする。なんなら、従うことに安心感を抱いてんじゃないかとすら思ってしまう。
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これってすごい変じゃない?
どうして、今の状態に甘んじようとするんやろ。文句があるなら、行動を起こせばいい。ただ現状に従うなんてことを辞めりゃいいだけのに。
この可笑しさは、日常が異常に変わってく時に浮き彫りになる。
![野原](https://noharanonoumisohatake.com/wp-content/uploads/2024/01/無題103_20240112203944-150x150.png)
例えば戦争とか。
どうして人は、現状に支配されることを望むのか。
そんな疑問を抱いたんなら、『自発的隷従論』がオススメやで。
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魅力① 歴史を変え続ける一冊
この本は、古典に分類される。
つまるところ、論文(『自発的隷従論』はこの論文をまとめたもの)が書かれたのは16世紀の真ん中らへんやねん。大体、今から460年前に書かれてるよ。
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ちなみにこの本の筆者である、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシはモンテーニュの親友だったりする。
![野原](https://noharanonoumisohatake.com/wp-content/uploads/2024/01/無題103_20240112203944-150x150.png)
ラ・ボエシはモンテーニュの有名な作品、『エセー』にてズッ友(超意訳)扱いされてたり。
でも、この本がラ・ボエシが生きてる間に表にでることはなく。モンテーニュは亡き親友の論文を世に出そうとしたけど、誤解されることにビビってやめた。
でも、モンテーニュの判断は正しかったと思う。
なんでかって?
バリッバリに政治利用されたから。
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知る人ぞ知る一冊になっていたこの論文、フランス革命に利用される。
例えば、一部分だけぬきとって「フランス人の目覚ましの鐘」なんてパンフレットに使われたりとかな。
かと思えば、全体主義批判を展開する思想家の目に止まったり。
![野原](https://noharanonoumisohatake.com/wp-content/uploads/2024/01/無題103_20240112203944-150x150.png)
全体主義ってのは、国家>個人な考え方のこと。第二次世界大戦中の日本とかがイメージしやすいかなあ。
日本じゃマイナーな一冊かもしれんけど、かなり歴史に影響を与えてるロングセラーブックじゃなかろーか。
魅力② 読みやすい
古典ってさ、読みにくいもんはホンマに読みにくいんよ。
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難しい単語に難しい単語を掛け合わせて、そのうえ、分かりやすく伝える気ゼロな文を量産してきたり。
発狂したくなるような本ってのは、マジで実在する。
![野原](https://noharanonoumisohatake.com/wp-content/uploads/2024/01/無題144_20240112204135-150x150.png)
実はこれ、最近の本でもそう。けど、傾向として古典のほうが読みにくいんよ…
でも、読みやすい!
古典として知られる本のなかでも、トップクラスに読みやすいよ。
ページもそこまで多くない、硬すぎない文章、あんまり出てこない難しい表現、溢れる著者の情熱。
でも、伝えんとする重要部分はギチッと詰まってる。
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魅力③ なぜ人は支配されてるのか、その答えは。
ちょっと本文から引用させてもらうで。
多数者が一者に隷従する不思議
ここで私は、これほど多くの人、村、町、そして国がしばしばただひとりの圧政者を耐え忍ぶなどということがありうるのはどのようなわけか、ということを理解したいだけである。
『自発的隷従論』p11より
これ、歴史で常に問われてることじゃないかね?
例えば、第二次世界大戦。
ヒトラーは極悪人で、だからドイツは暴走しだした…なーんて言われたりする。
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なるほど、ヒトラーは悪者だった。あいつが諸悪の根源やった。
なら、なんでドイツの民衆はヒトラーに従った?極悪人に従うなんて、そんなバカげたことがなんで現実になってしまったんやろ。
それとも、日本の話をしようか。
「日本政府は増税ばかりしてる。でも、それじゃ国の経済がドンドン落ちてしまう。このままじゃダメや。」
こーいう意見をよく聞く。
![野原](https://noharanonoumisohatake.com/wp-content/uploads/2024/01/無題103_20240112203944-150x150.png)
なんなら、野原もそう思う。
でも、増税されたらそれに従うやろ?
「増税はあかん」なんて思いながら、当たり前のように前より多めの税を払う。
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なんで、この本が歴史に影響を及ぼし続けれたかと言うとな。
「人は支配され続けてるのはなんでか?」
その素朴な問いに対して鋭いアンサーが書かれてるから。
だから、この本は愛読され続けたんやろうよ。
支配のメカニズムは全ての時代に通ずる。やからこそ、今を生きる自分らにも、大いに役に立ってくれるやろうよ。
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読むべき人
- 歴史に興味ある人
- なんで人は支配されるのか、理由を知りたい人
- 中身のある人生を送りたい人
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この本は、単体で読んで終わった気にならんことをお勧めするで。
具体的には、読んだあとに現実の出来事を思いめぐらす。んで、「ああ、こーいうところにも、支配のメカニズムって活きてるんやなあ」って考えてみる。
そうやって考えてるとな、「中身のある人生を送るには何をするべきか」が見えてくるで。
読まないほうがいい人
- 歴史に興味ない人
- 支配のメカニズムとか、どうでもいい人
- ただ流されるだけの人生がいい人
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まとめ
支配なんて言うと随分仰々しい。でも、生まれた時からついてくるモンでもある。
やからこそ、そこに目を向けることにはちゃんと意義があるんじゃないかね?
参考情報・参考文献
自発的隷従論 エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ 西谷修=慣習 山上浩嗣
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